公示送達調査とは? 探偵事務所に依頼するメリットや注意点も
公示送達調査とは何なのか、探偵事務所に依頼するメリットはあるのかなど、公示送達調査について悩んでいる方は多いでしょう。
慰謝料請求や相手方に対して裁判を起こす場合は、その意思を表示する必要があります。相手がどこに住んでいるか分からずに意思表示ができない場合に役立つのが、公示送達です。探偵事務所へ正式依頼をする前に、公示送達調査について詳しく把握する必要があります。
本記事では、公示送達調査の内容や探偵事務所に依頼するメリットなどを詳しく説明しましょう。
この記事を読むことで、調査の開始から公示送達までの手続きや公示送達調査の注意点なども分かります。気になっている方はぜひ参考にしてください。
1.公示送達とは?
まずは、公示送達について詳しく説明します。
1-1.意思表示を到達させる制度
自分の意思を示したい相手がどこに住んでいるのか分からなくなったり、意思表示が到達されなかったり、相続人が誰かが不明だったりすることがあるでしょう。その場合は、裁判所に申し立てを行い、法律上に表意者(意思を表示する人)の意思表示を到達させることができます。それが、公示送達です。意思表示をしたい相手の住まいが分からない場合は相手方が最後に住んでいた地域の簡易裁判所に、相手方自身が誰か分からない場合は意思表示をしている人の地域にある簡易裁判所へ申し立てを行います。
1-2.民事訴訟を起こすケース
民事訴訟をするためには、訴訟を起こした人と訴訟を起こされた人の意思表示が必要になります。訴訟の申し立てを受けた裁判所は、正式に当事者へ通知することになりますが、この通知が「送達」です。この送達の中に、相手方の住所・勤務先などを明確にする公示送達というものがあります。宛名となっている人物(被告等)が受領印を押し、受領が完了した状態にする必要があるのです。
1-3.居場所が不明という証明が必要
公示送達は、裁判を起こす相手の住所や勤務先が不明になっている場合に行われます。つまり、公示送達を適用させるためには、実際に居場所が分からないということを証明する必要があるというわけです。相手方の住所や勤務先が不明であることを証明できるものとしては、探偵事務所が作成する「調査報告書」があります。探偵事務所が作成した調査報告書を裁判所に提出すれば、公示送達が可能です。
2.調査の開始から公示送達までの手続き
ここでは、調査の開始から公示送達までの手続きを解説します。
2-1.住所・勤務先が判明している場合
公示送達との違いが分かりやすくなるように、まずは住所・勤務先が判明しているケースをチェックしましょう。相手方の住所や勤務先が判明している場合は、以下のような流れで送達を行います。
- 住所・居所への送達(通常送達)
- 通常送達不能の場合→就業場所への送達(就業先への送達)
- 相手が受け取らない場合→付郵便送達
まずは、相手方の住所・居所へ通常送達を行います。通常送達が不能の場合は、相手方が勤めている職場へ送達される仕組みです。就業場所送達を行う場合は、送達するのに支障があり、住所は不明だが勤務先は判明しているケースに適用されます。就業場所送達を行っても相手が受け取らない場合は、付郵便送達へと進む流れです。
2-2.探偵事務所による公示送達調査
一般の人では、なかなか相手方の住んでいる場所を明らかにはできません。一方で探偵事務所は、調査に慣れている探偵が行うのでスピーディーに相手方の住まいが特定できます。調査方法や調査内容は探偵事務所によって異なりますが、主に以下のような内容で調査を行うことが多いでしょう。
- 建物管理者や近隣住民への聞き込み
- 電気・水道・ガスメーターなどの確認による生活実態
- 建物の外観・表札の有無・郵便受けの状態
- 依頼者から承認が得られた場合は直接訪問など
主に、聞き込みなどを行い、公示送達の住居所調査報告書を作成します。具体的にどのような方法で調査を行うのかは、探偵事務所に尋ねて確認したほうがいいでしょう。
2-3.公示送達の大まかな流れをチェック!
では、公示送達を行う際は、どのような流れで手続きを行うのでしょうか。大まかな流れを下記にまとめたのでぜひ参考にしてください。
- 必要な書類を準備する
- 相手方の住所と思われる場所を調査する(探偵事務所へ公示送達調査を依頼する)
- 調査報告書を簡易裁判所に提出し、手続きを行う
- 裁判所の掲示板前で2週間訴状などを提示する
上記の流れで公示通達を行っても相手からコンタクトがない場合は、こちらの勝訴となります。なお、4番目の2週間訴状は、相手の住所に書類を送付したことと同じ効果が得られる方法です。
3.探偵事務所が行う公示送達調査のメリット
ここでは、探偵事務所が行う公示送達調査のメリットを解説します。
3-1.調査報告書が手に入る
探偵事務所に公示送達調査を依頼する大きなメリットは、裁判所に提出できる調査報告書が入手できることでしょう。前述したように、相手方へ公示送達を行いますが、住所が分からない場合は意思表示ができません。相手方の住所が分からずとも、探偵事務所が作成した調査報告書を簡易裁判所へ提出すれば、相手方へ意思表示ができます。つまり、探偵事務所が作成する調査報告書は、それだけの効力があるということです。
3-2.滞っていた問題が解決する
相手が居留守を使っていた場合、通常の送達では何の解決にもなりません。こちらから何度連絡をしても相手から反応がない場合に、探偵事務所が行う公示送達調査が役立ちます。ガスやメーターなどを確認して、その場所に住んでいるかどうかを調べてくれるため、これまで疑問や不明に感じていた要素や問題が解決へと進み始めるでしょう。滞っていた問題が解決へと進めるきっかけになるのも、探偵事務所へ公示送達調査を依頼するメリットです。
3-3.調査員や法律専門家からのアドバイスも
ほとんどの探偵事務所では、無料相談を受け付けています。無料相談では匿名で受け付けているところもあるので、気軽に相談できるのも大きなメリットです。誰にも打ち明けられなかった問題を聞いてもらえるだけでも心が軽くなります。また、探偵事務所の中には、調査終了後に弁護士や司法書士などの法律専門家を無料で紹介してくれるところもあるでしょう。法律専門家から公示送達についてのアドバイスがもらえるのも、探偵事務所に依頼するメリットです。
3-4.公示送達調査なら探偵社アヴァンスへ
公示送達でお悩みの方は、ぜひ探偵社アヴァンスへご依頼ください。探偵社アヴァンスでは、元弁護士事務所職員ならではの対応力で、訴訟相手の居住実態を全国どこでも調査します。公示送達などの現地調査を行っているほか、裁判をスムーズに進めるためのアドバイスも可能です。居住実態を証明するために必要な調査報告書も作成しているので、公示送達でお悩みの方はぜひ一度ご相談ください。
4.公示送達調査の注意点
ここでは、公示送達調査の注意点を解説します。
4-1.公示送達ができる大前提
何よりも、公示送達をするためには「相手の住所または居所が不明なこと」である点が大前提です。相手の住所・居所が判明しているのにもかかわらず、公示送達を行ってしまった場合は大変なことになってしまうので注意してください。民事訴訟97条の規定に従って、相手方は判決に対して上訴することが認められてしまいます。こちら側がスムーズに勝訴できなくなってしまうため、相手の住居または居所が不明なことである点が大前提に公示送達の申し立てを行いましょう。
4-2.擬制自白は適用されない
公示通達を行う場合は、擬制自白が適用されません。擬制自白とは欠席裁判とも呼ばれており、民事訴訟で被告が欠席した場合に原告が訴訟する制度のことです。公示通達がされた場合は、この擬制自白が適用されなくなるので注意してください。擬制自白が認められない分、証拠による立証が必要になります。公示送達は勝訴の確率が格段に上がりますが、そのことをしっかりと把握しておきましょう。
4-3.公示送達をする前に把握すべきこと
公示送達をする前に、把握すべきことがいくつかあります。まずは、相手方の現住所状況を確認することです。前述したように、公示送達をするためには「相手方の住所が分からない」を証明しなければならないので、現在の住居に住んでいないことを確認します。ガス・電気の使用状況や近隣住民からの聞き込みなどを調べ、相手方が住んでいないことを証明しましょう。また、職場に問い合わせをしたり、情報開示を求めたりする方法もあります。
4-4.探偵事務所とのトラブルに要注意!
探偵事務所に公示送達調査を依頼する場合は、悪徳業者とのトラブルに注意が必要です。よくあるトラブルとして、「必要な情報が得られなかった」「調査報告書が裁判所に認められなかった」などがあります。これらのトラブルを未然に防ぐためには、依頼する探偵事務所を慎重に選ぶことが大切です。なお、探偵事務所を選ぶ場合は、下記のポイントに注目してください。
- 公示送達調査の実績があるか
- 調査報告書の内容が明確になっているか
- 調査員やスタッフの対応が丁寧でスピーディーか
- 無料相談や無料見積もりを受け付けているか
- 見積書の内容や料金設定が明確になっているか
- 口コミや評判がいいか
- アフターサービスが充実しているか
上記のポイントを踏まえた上で、複数の探偵事務所を比較することが大切です。
5.公示送達調査に関してよくある質問
公示送達調査に関する質問を5つピックアップしてみました。
Q.公示送達が認められる調査報告書の内容は?
A.調査報告書に以下のような内容が記載されている場合は、裁判所に公示送達が認められることになります。
- 事情聴取した人の名前・連絡先・原告との関係
- 住民票添付または住所が存在していたことの証拠
- 相手方の最後の居所・就業所の調査内容
- 郵便物の転送先が分かる場合は転送先の調査内容
- 被告が生活をしていた建物の特定と現況
- 被告の転居先が分からない理由
Q.公示送達が無効になった判例はあるのか?
A.いくつかあります。たとえば、「不当利益返還請求控訴事件」と呼ばれている事例です。被告人がデパートで働いていることを知りながら、その本社に対して特別送達を行い、公示送達が向こうとなりました。この場合、そのデパートの担当者へ直接問い合わせれば相手の身元確認が分かったと判定され、公示送達が無効となったケースです。
Q.公示送達が却下される状況は?
A.相手方の情報がまったく分からない場合は、公示送達自体が不可能になるでしょう。名前といった個人情報が何も分からなくなると、誰を訴えたいのかも不明になるので裁判の手続きを進めることができないからです。また、訴える相手の職場を自分で調べられるのに公示送達をするケースも却下されます。自分で調べる余地がある場合は、公示送達ができません。
Q.公示送達調査にかかる費用はいくらぐらいか?
A.調査内容や調査期間などによって異なりますが、参考として探偵社アヴァンスの調査費用は以下のとおりです。
- 1件:25,000円(税込 27,500円)
上記の費用は、調査報告書作成費込みです。なお、交通費(実費)や出張費は別途請求となります。交通費・出張費については下記を参考にしてください。
- 東京(23区以内)・千葉県内:なし
- 東京(23区以内)・神奈川・埼玉・茨城:7,000円(税込 7,700円)
- 千葉・東京・神奈川・埼玉・茨城以外:15,000円(税込 16,500円)
Q.調査を依頼する際に、最低限必要な情報は?
A.探偵事務所によって異なりますが、最低限以下の情報は必要になるでしょう。
- 名前
- 生年月日
- 世帯状況・家族構成
- 転入した時期
- 電話番号
- 車両所有の場合には車両情報
- 職業・勤務先の情報
まとめ
いかがでしたか? 公示送達調査は、訴える相手方の住所・居所が分からない場合に行うことができます。公示送達をするためには、相手方の住所が分からないことを証明する必要があるので注意してください。なお、探偵事務所が作成する調査報告書は、裁判所に公示送達を認めてもらうための証拠となります。探偵社アヴァンスでは、元弁護士事務所職員が対応しておりますのでぜひ一度お問い合わせください。